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一般的な洋服とちがい、着物は何代にもわたり着用できる素材や仕立てにより作られています。そのため母や祖母の思いをあわせて受け継ぐことができるのが着物の魅力だと思います。
しかし、
- 「自分の着物を娘に譲りたい」
- 「母や祖母から譲り受けた着物を着たいけどサイズが合わない」
- 「体型が変わって昔の着物が着られなくなった」
とお悩みの方も。そんな方には、「着物の仕立て直し」「着物の寸法直し」がおすすめです。着物を仕立て直しや寸法直しをすることで、譲り受けた着物を自分に合うサイズで着姿が美しく、着崩れしにくく着ることができますよ。
この記事では、着物の仕立て直しについて、気になる料金相場や仕立て直しにかかる期間、依頼する際の注意点まで徹底解説します。着物の仕立て直しについて気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【着物の仕立て直し・寸法直し】人気ランキングTOP3
着物のサイズを変えることができる仕立て直し・寸法直しですが、着物のどの部分の寸法を直す方が多いのでしょうか。ここでは「人気の仕立て直しメニュー」をランキングで3位までご紹介します。
1位:着物の裄(ゆき)直し
お直しする方がもっとも多いのが「着物の裄直し」です。現代人は昔の人にくらべて腕が長く、肩幅が広いため、譲り受けた着物の裄(腕部分)が短いケースが多く見られます。せっかくの素敵な着物も、腕が出てしまうと寸足らずな印象になり着姿が美しくきまりません。人目につきやすい場所でもあるので、裄が足りない場合は裄直しに出すのがマストです。
着物は内側に余った生地が折り込まれて仕立てていることが多いため、一度ほどいて縫い直すことで腕の長さにあったサイズに仕立て直すことができます。ただし、裄をどの程度伸ばせるかは着物を解いてみないと分からないので、呉服店に持参して相談する必要があります。
2位:振袖の寸法直し
「振袖の寸法直し」も人気が高いメニューのひとつです。成人式でお母様の振袖=「母振袖/ママ振袖」をお嬢様が着るケースが増えています。とくに「成人式の振袖で人とかぶりたくない」「昔の上質な振袖を着たい」「家族の思い出がこもる振袖を着て親孝行したい」という方を中心に選ばれています。
ママ振袖の場合、お嬢様のサイズに合わせて寸法直しや仕立て直しを行う必要があります。一般的にお嬢様の方がお母様より身長が高いケースが多いので、主に以下の部分をお直しすることになります。
【ママ振袖の寸法直し箇所】
- 裄直し:裄(腕部分)を長くする
- 袖丈直し:袖を長くする
- 身丈直し:振袖の丈を長くする
- 身幅直し:振袖の横幅を広くする
お嬢様に合ったサイズに仕立て直すことで、思い出の振袖をより素敵に着てもらうことができますよ。
参考記事▶︎【母親の振袖】クリーニング・サイズ直し・コーディネートで、昔の振袖をリメイクして思い出を作ろう
3位:長襦袢の半衿付け替え
「長襦袢の半衿付け替え」も、ご相談の多い依頼内容です。
昔は自分ですることが多かった半衿付けも、着物が日常着ではなくなった現代ではできる方が少なくなりました。そこまで難しくない半衿付けですが、きれいに付けるためにはやはりコツがいるためプロに付けてもらいたいと考える方が多いようです。
古い長襦袢の場合、半衿の下の「地衿」を併せて交換する方も多くいます。地衿は茶色く変色しやすい箇所のひとつ。シミがひどいと半衿に透けてしまうこともあるので、新しい地衿に付け替えるのがおすすめです。ついでに衿元をしっかりと固定するために「えもん抜き」を付けるのもおすすめします。
着物の仕立て直しにかかる相場費用の一覧
着物の仕立て直しにかかる料金は気になるポイントです。仕立て直し・寸法直しにかかる相場価格を以下にまとめました。
仕立て直し・寸法直し項目 | 目安価格(税別) |
裄直し | 15.000円~ |
身丈直し | 43.000円~ |
身幅直し | 39.000円~ |
袖丈直し | 14.000円~ |
解き洗い張り | 12.000円~ |
長襦袢の地衿交換 | 8.000円~ |
長襦袢の半衿交換 | 4.000円~ |
着物の仕立て直しの流れ&納品までの期間
次に、着物の仕立て直しと納品までの期間についてみていきましょう。
着物の仕立て直しの流れ
着物の仕立て直し・寸法直しの流れは以下のとおりです。- 着物の状態の確認
- お客様の採寸
- 希望寸法と縫い代の確認
- 注意事項の説明
- 加工へ
呉服店に相談すると、自分のサイズの採寸や仕立て直し・寸法直しにかかる金額の見積りをしてもらえます。ネットでお直しをお願いすることもできますが正確なサイズの採寸は初心者には難しいので、実際にお店へ行って相談するのがベターです。
着物の仕立て直し・寸法直しにかかる期間
着物をほどいてイチから仕立てる「仕立て直し」には、通常2~3ヶ月ほどの期間がかかります。着物を仕立て直す場合、はじめに「解き洗い張り」をすることがほとんどです。
「解き洗い張り」とは、仕立てられた着物をすべてほどき、ほこりなどの油汚れや汗や湿気などの水汚れをきれいにするために水洗いをする作業です。生地の幅を整えて絹の光沢を回復させるために必要な工程なので、仕立て直しをするすべての方におすすめしています。
解き洗い張りすることによって、縫い跡や折山(キセ)、スジ・スジ汚れがきれいになることもあります。解き洗い張りに約1ヶ月、仕立ての作業に約1~2ヶ月ほどかかるため、仕立て直しの納期は約2~3ヶ月となります。
「寸法直し」とは着物のサイズを部分的にお直しすることで、納期の目安は通常1~3ヶ月かかります。一般的に寸法直しは1ヶ月ほどで対応可能なことがほとんど。ただし裄直しなどをお願いした場合には、縫目や折山(キセ)の跡を消す「スジ消し」などの別途加工が必要なことも。その場合は3ヶ月ほど納期をみておいた方がよいでしょう。
着用日などが決まっていてお急ぎの場合には、特急で対応可能なケースもあります。ただし急ぎの仕立て直しには追加料金がかかることもあるので要確認です。
着物の仕立て直し・寸法直しをする際の注意点
着物を仕立て直し・寸法直しに出す場合、どんな点に注意したらよいのでしょうか。仕立て直しの際に気をつけるべき4点をご紹介します。
①着物の裄直しをする際は長襦袢も一緒に直す
着物の裄を直す場合、下に着る長襦袢の裄も一緒に直す必要があります。
着物と長襦袢の裄と袖巾のサイズが合っていないと、袖の振り部分から長襦袢が見えてしまいます。動くたびに長襦袢がちらちらと見えるのは、着ている本人も周りの人からも気になるものです。寸法が合っていないと着崩れの原因にもなります。 着物の裄直しをする際は、長襦袢も一緒に持参してぴったり合うサイズに直してもらうことが大切です。
②希望の寸法が出せない場合がある
着物の寸法直しでは、希望通りのサイズに直すことが難しいケースもあります。
昔の着物はそもそも生地の幅が狭め。もとの生地幅以上の寸法にすることはできないので、腕が長い人などは仕立て直しをしても希望する裄の長さまで出せないこともあります。 ただし理想サイズに近い寸法に直すだけでも着姿の印象は変わるので、一度お店で相談してみることをおすすめします。
③裏地が変色していたら交換がおすすめ
着物の裏地に茶色い変色が見られる場合には、新しい裏地に交換しましょう。
「裏地は見えないからそのままで大丈夫」という方もいますが、変色した裏地のままにしておくのは危険です。裏地のシミはカビの可能性もあるので、放っておくと着物にカビがうつってしまう可能性も。茶色く変色した裏地は見た目にもよくないので、着物を着る際の気分も下がってしまいます。
その点、最近の裏地は、黄変防止加工が施されているものが多いので安心です。新品の真っ白な裏地に付け替えることでカビの心配もなくなり、気持ちよく着物を着ることができますよ。
④スジ消しに追加料金がかかることも
今より大きいサイズに着物を仕立て直す場合には、「スジ消し」などの別途加工が必要となり追加料金がかかることもあります。
たとえば着物の裄直しをするとき、袖幅・肩幅を広くすることで元のサイズの仕立て跡が残ってしまいます。サイズを広げる場合は、元の仕立て跡=スジはアイロンをかけただけでは消えないため、お着物によっては「スジ消し(5,000円〜)」や「染色補正(要見積もり)」という特殊な加工が必要かどうかご確認くださいね。
仕立て直し・サイズ直しは着物に詳しい呉服専門店がおすすめ
今回は着物の仕立て直し・寸法直しについて、気になる料金相場や仕立て直しにかかる期間、お直しに出す際の注意点などを解説しました。古い着物でも一度ほどいて洗い、新しく仕立て直すこと・寸法直しをすることで、見違えるほどきれいに生まれ変わります。
着る人のサイズに合った着物は着姿が美しいのはもちろん着やすく着崩れも少ないので、ぜひマイサイズに仕立て直し・寸法直しをすることをおすすめします。えり正では、譲り受けたお着物の仕立て直しのご相談も承っています。
【お客様の声】
- 「身丈が自分の寸法になったことで腰紐の位置など着付けでの手間が減り、着やすくなった」
- 「自分の寸法なので着崩れがなくなった」
- 「母の着物を娘寸法に仕立て変えることで、箪笥の肥しになっていた着物を着てもらえるようになりうれしい」
などの喜びの声も多くいただきます。着物や振袖の仕立て直し・寸法直しも、呉服専門店・えり正におまかせください。
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