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しかし「もらった着物を着てみようかな」と思っても、着物のサイズが自分の寸法と合っていないとなかなか着る機会もやってこないもの。譲り受けた着物もタンスの肥しになってしまってはもったいないですよね。
この記事では「サイズの合わない着物」をお持ちの方に向けて、
- サイズが合わない対処法
- 寸法直しがおすすめの箇所
- 着物の寸法直しにともなう採寸の注意点
- スマートな着姿のための寸法直しのコツ など
についてもご紹介しますので、サイズの合わない着物でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
サイズの合わない着物を着ることのデメリット3点
着物が自分の寸法に合っていないと、具体的にはどんな問題があるのでしょうか?サイズの合わない着物を着ることによる主なデメリットを3点お伝えします。
【サイズの合わない着物を着ることのデメリット】
- 着付けがうまくいかない
- 着崩れする
- 着姿や所作が美しく見えない
①着付けがうまくいかない
サイズが合わない着物は、自分の寸法に合った着物とちがい着付けがしにくいのが難点です。たとえば身幅が広すぎる着物の場合、余分な生地を下前で処理しなくてはなりません。余った部分を脇部分で折り返す必要がありますが、きれいに着付けるにはちょっとしたコツがいります。
ほかにも身丈が長い場合は、腰ひもをなるべく高い位置でしめておはしょりの長さを調整します。それでも長ければおはしょりをたっぷり取って折りたたむなど、着付けの中でひと手間加えなくてはなりません。おはしょりを多くとった上から伊達締めをしめるとき、たっぷり生地がある状態で帯下にくるおはしょり部分をきれいに整えるにはやはり着付けの技術がいります。
サイズの合わない着物は自分に合ったサイズの着物とちがい着付けが難しいので、きれいに着るためには一定程度の慣れと練習が必要といえるでしょう。
②着崩れする
サイズの合わない着物を着る難点として、着崩れすることもあげられます。自分にぴったり合ったサイズの着物でない場合、着付けの際に何らかの調整が必要となります。着付け直後は見た目がきれいでも、動いている内に無理に調整した部分が着崩れの原因になることも。たとえば身丈の長い着物の場合、たっぷり余ったおはしょりをちょうどよい長さになるように伊達締めでおさえていても、時間が経つと余分な生地が出てきてしまうことがあります。
さらに、寸法の大きい着物を着ると背中や胸元・肩などに補正では防げないシワがよる可能性も高くなります。サイズがぴったり合っていない着物は、マイサイズの着物とちがい着崩れやしわなどが起こりやすい点が懸念材料です。
③着姿や所作が美しく見えない
着物は自分に合ったサイズでないと、着姿や所作が美しく見えないというデメリットも。サイズの合っていない着物は周りから見ても着姿に違和感を感じることが多く、マイサイズの着物とちがって着姿が美しく決まりません。とくに裄の短い着物は手首が見えてしまい、着物姿のエレガントさが損なわれてしまいます。
ほかにも身幅が狭いサイズの着物は裾がはだけやすく、椅子に座った際などに下着(長襦袢や裾除け)が見えてしまうことも。前身頃の重なりが少ないので、動き方にはいつも以上に注意が必要です。さらに大きめサイズの着物を着ると、実際よりも太って見えてしまう点も気になる部分です。
着物のサイズが合わない場合の対処法
サイズの合わない着物を着たい場合、どんな対処法があるのでしょうか。着物のサイズが合わない場合の対処法は以下の2点です。
【着物のサイズが合わない場合の対処法】
- 着付けを工夫する
- 寸法直しをする
①着付けを工夫する
サイズの合っていない着物でも、多少の差であれば着付けでカバーできる場合もあります。たとえば身丈が多少長い・短い場合は、腰ひもの位置を高め・低めにすることで調整できることも。ただし、自分に合ったサイズの着物でないと着付けがしにくいうえに着崩れも起こりやすくなります。そもそも着付けで調整できる範囲は限られているため注意が必要です。
②寸法直しをする
サイズの合わない着物を着たい場合は、寸法直しに出すのがベストです。本来着物は自分の寸法に合わせてイチから仕立てるもの。寸法の合った着物は着やすく、さらに着姿も美しく決まります。また寸法の合っていない着物を着ていると、周りから「だらしない」などのイメージを持たれてしまうことも。とくに目立つ箇所(裄・身丈・身幅)だけは寸法直しをするか、可能であれば一度洗い張りをして仕立て直すのがおすすめです。
できればサイズを合わせたい着物の寸法箇所TOP3
サイズの合わない着物は、可能であれば寸法直しをしてから着用することをおすすめします。できればサイズを合わせておきたい着物の寸法箇所TOP3を紹介します。
【寸法直しがおすすめの着物の寸法箇所TOP3】
1位:裄
2位:身丈
3位:身幅
1位:裄
着物の寸法の中でも「裄」はサイズが合っていないと目立ちやすいため、ぜひ寸法直しをしたい箇所です。現代人は昔の人にくらべて手足が長くなっており、お母様やおばあ様の着物を直さずに着ると裄が足りない場合がほとんどです。お母様などと身長、体重があまり変わらない場合でも、裄だけは短いというケースも少なくありません。
裄が短い着物を着ると、手首が見えてしまい寸足らずな印象に。逆に長い場合はだらしなく見えてしまい、着姿が美しくありません。裄直しをすることで、譲り受けた着物も美しく着こなすことができます。ただし、裄をどの程度出せるかは着物をほどいてみないとわからないため、一度呉服店に着物を持参して見積りを依頼するのがおすすめです。裄直しにはスジ消し料金が追加でかかるため、費用の見積りも一緒にお願いしましょう。
2位:身丈
着物の「身丈」は着付けのしやすさや着姿の美しさへの影響が大きいため、できれば寸法直しを行いましょう。今は昔にくらべて平均身長が高くなっているため、自分より年配の方から譲り受けた着物は身丈が短い場合が多いです。身丈が短いとおはしょりをしっかり作れず、腰ひもが見えてしまい残念な着姿に。
またおはしょりを出すために低い位置で腰ひもをしめるため、動いている内に腰ひもがずれてきたりと着崩れの原因にもなります。反対に身丈が長すぎると、おはしょり部分に余った生地がゴロゴロしてやはり着崩れにつながります。身丈を自分に合ったサイズに直すことで、着やすく着崩れもしにくい着物に生まれ変わります。
3位:身幅
着物の「身幅」も自分に合ったサイズに仕立て直すことで、着姿や所作が格段に美しくなります。身幅直しは、大幅に体型がちがう方から着物を譲り受けた方や若い頃と体型が変わった方からの依頼の多い箇所です。着物の身幅が狭いと前身頃の重なりが少ないことから、着物がはだけやすいのが難点です。さらに衽や脇のラインが合わないため着姿が美しく見えず、着崩れもしやすくなります。
身幅が広い場合は問題なさそうに感じる方も多いですが、やはり背縫いのラインがずれたり衽や脇のラインが合わずにだぼっとした着姿に。着付け時に衽のラインを合わせようと下前を多めに巻き込むので着付けがしにくく、歩きにくいのもデメリットです。自分に合った身幅の着物はもたつく部分がなくすっきりきれいな着姿に決まるので、ぜひマイサイズにお直しをしましょう。
【サイズの合わない着物の寸法直し】サイズを測る際の注意点
サイズの合わない着物の寸法直しや仕立て直しをする際は、はじめに自分のサイズを測る必要があります。着やすく美しい仕立てには採寸が重要なので、なるべく正確にサイズを測ることが大切です。サイズを測る際の注意点について、お店で測る場合と自分で測る場合のポイントを解説します。また、採寸時には以下の情報もあわせてお店のスタッフに伝えることをおすすめします。
【採寸時にあるとよい情報】
- 着用着物の種類(礼装用・普段着など)
- 着用時のTPO
お店で測る場合
お店で採寸してもらう場合は、着物のプロにおまかせすれば間違いありません。採寸時の服装の注意点としては、あまり厚着で行かないこと。厚着すぎる服装の上からだと実際の寸法がわかりにくいので、なるべく薄着でタイトなシルエットの服装がおすすめです。
自分で測る場合
着物用の採寸を自分でするときは、なるべく正確な寸法を測れるように慎重に行う必要があります。裄は腕の角度によって誤差が出やすい箇所なので、できれば人に手伝ってもらいながら採寸するのがおすすめです。身幅はバスト・ヒップ・下腹の正確な寸法を伝える必要があるため、できればヌード寸法が望ましいでしょう。
着物の寸法直しや仕立て直しをする際は、「寸法の数値」だけでは判断できないこともあります。寸法とともに体型の特徴を詳しく伝えることで、自分にぴったり合った着物に仕立ててもらうことができますよ。
【伝えておきたい体型の特徴の例】
- 鳩胸
- 腰骨が張っている
- 肩幅と腕の長さのバランス
- 太ももの太さ など
スマートな着姿のための寸法直し&仕立て直しのコツは?
スマートで美しい着姿のためには、着物の寸法直しを依頼するときのコツがあります。寸法直し、仕立て直しをお願いするときは、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
【スマートな着姿のための寸法直し&仕立て直しのコツ】
- 採寸時に体型の特徴や習い事などについて伝える
- 長襦袢に衣紋抜きをつける
- ふくよかな方にはスマートに見える特殊な仕立て方法がおすすめ
①採寸時に「体型の特徴」や「習い事」などについて伝える
着物の採寸時は、体型の特徴や着物を着るシーンについて詳しく伝えることをおすすめします。着る人が気にしているポイントや着る目的などのヒントが多いほうが、着やすい着物に仕立てやすくなります。「下半身が太い」「左右の腕の長さがちがう」など体型で気になるところや、「袖丈は長めが好み」などの仕立て上がりの好みもあらかじめ伝えておきましょう。
着物を着る習い事をしている場合は、習い事の種類まで共有しておくのが◎。とくに茶道を習っている場合は和裁士さんが身幅の寸法の割り出しを考えてくれたりと、着用シーンに合わせて美しく着こなせるようサイズを調整してくれます。
②長襦袢に衣紋抜きをつける
着物をスマートに着こなすためには、長襦袢に衣紋抜きをつけるのもおすすめです。長襦袢の背中につける衣紋抜きは、腰ひもで衿を固定する役割があります。美しい着姿は衿元が肝心なので、長襦袢に衣紋抜きをつけることできれいな衿元をキープすることができます。後ろの衿もきれいに抜けた状態を保つことができるので、衣紋抜きは美しい着姿の重要アイテムといえるでしょう。
昔の長襦袢には衣紋抜きがついていないことが多いので、譲り受けた長襦袢にも衣紋抜きがついていない場合はお店でつけてもらうのがおすすめです。
③ふくよかな人にはスマートに見える特別な仕立て方法がおすすめ
ふくよかな体型が気になる方は、スマートに見える特別な仕立てをお願いすることができます。「スマート仕立て」という身幅が裾すぼまりになるよう調整する仕立て方法です。裾に向かって狭くなるように仕立てるので、着姿がすっきり美しく見えるのが特徴です。譲り受けた着物がとても気に入って「より素敵に着こなしたい!」と思っている方は、一度洗い張りをしてきれいにし、スマート仕立てで仕立て直しをするのがおすすめです。
サイズ直しは着物に詳しい呉服専門店でご相談ください
今回はサイズが合わない着物をお持ちの方に向けて、サイズの合わない着物を着ることのデメリットや対処法などについて解説しました。サイズの合わない着物は寸法直しや仕立て直しをすることで、着やすく・着崩れがしにくく・着姿も美しい着物に生まれ変わりますよ。
呉服専門店えり正では、着物のプロによる丁寧な採寸と着姿が美しく見える寸法直し、仕立て直しが自慢です。着物の着姿の美しさや着心地のよさは、採寸や仕立ての技術で大きく変わります。えり正はお客様の体型のお悩みに寄り添って、着物姿がもっとも美しく見える仕立て方を提案させていただきます。
サイズが合わない着物でお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。大切な思い出のこもる着物を気持ちよく着るためのお手伝いをさせていただきます。
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